お茶の味が水によって変わることは、昔から知られています。ちゃんと適した水でいれると、本来の味と香りが引き出せます。水割りも水にこだわれば、おいしいだけでなく、アルコールを早く分解し二日酔いの防止になる場合があるのです。
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緑茶は若葉のさわやかな香りを残す非常にデリケートなもの。この微妙な味わいと香りは、それにふさわしい水を使わない限り引き出せません。それには軟水が適しています。硬度が高いとカルシウムやマグネシウムは茶葉の成分であるタンニンの抽出を悪くし、鉄分はタンニンと結びついて色と味を悪くします。反対に硬度が低すぎても香りが出てこないといわれています。煎茶やほうじ茶は硬度30〜40くらい、抹茶は硬度40〜90くらいが適しています。ちなみに紅茶ももとは緑茶と同じ茶葉なので同じ理由から硬度50以下が望ましいと言われています。
コーヒーは、その豆が焙煎された地域の水で飲むのが一番おいしいと言われています。基本的には軟水に適しているものが多いようですが、豆によっては苦味が増してしまい、硬度の高い水で苦味を和らげるほうがおいしい場合もあります。深煎り豆を使ったエスプレッソなどは硬水が適しているようです。
ウィスキーやブランデーの仕込み水は硬度90〜180の硬水が使われています。このことから、水割りに使う水もこの仕込み水に近いものを使うのがコツです。
料理に関しても使う水しだいで味だけでなく栄養価も違ってきます。野菜を水道水でじゃぶじゃぶ洗えば塩素により大量のビタミンが破壊され、水道水で茹でたり煮たりすれば栄養が損なわれるばかりか味も変わります。だから一流のレストランや料亭ほど、使う水にとても気を使うのです。素材の持ち味を引き立てる日本料理、かたい肉をじっくり煮込むような洋風料理。これらに使う水には向き不向きがあり、水しだいで仕上がりが違ってきます。
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ご飯も使う水によって味が変わります。水道水で炊けばビタミンが破壊されてしまうというデータもあります。また、欧米で生活したことのある人なら、日本産の米で普通に炊いているのにパサついておいしく炊けないという経験をしたことがあると思いますが、これは水が硬水だからなのです。ご飯を炊くときは硬度80以下の軟水を使うとふっくらとおいしく炊き上がります。
和風だしには硬度50以下の軟水が向いています。うまみのもととなるアミノ酸や核酸系の物質はカルシウムと結合しやすくアクとなって出てきてしまうため、硬水では日本料理特有の繊細な味が出せなくなるのです。ただし、煮干のように臭みのある素材にはやや硬度が高い水を使った方が臭いを抑えることができます。
一方、洋風料理には硬度100を超える水が向いていると言えます。ただし、硬度が高すぎても肉がかたくなったりスープの味そのものに影響してしまうので注意が必要です。
人間は水がなければ生きていけません。そのため水のあるところで生活し文化を作りあげてきました。主に硬水が出る欧米では、その水を使っておいしくできる料理法が編みだされ、主に軟水がでる日本では、繊細な味を邪魔しない水を使った料理が発展してきました。
このように水にもその使い方によって向き不向きがあるのです。
硬度50以下の水 |
野菜料理、炊飯、和風のだし、煎茶、ほうじ茶、紅茶、コーヒー、焼酎の水割りなど |
硬度50〜100の水 |
炊飯、煮干のだし、抹茶、コーヒー、鍋物など |
硬度170前後の水 |
ウイスキーの水割り、洋風だし、肉の煮込みやアク抜き、鍋物など |
硬度300以上の水 |
食欲増進の効果があるので、食前酒の代わりに |
硬度600を超える水 |
便秘対策、スポーツ後のミネラル補給などに。料理にはあまり向かない。 |
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